鼓膜は、ダイアフラムである
ダイアフラムとは、圧力の作用に応じ、変位を生じる弾性隔膜のことであり、①圧力計②振動板③ポンプなどに利用する。(辞典から)
鼓膜は、ダイアフラムの一種である。
故に、鼓膜は①②③の物理的機能を持っている。
耳科学が100年見落としてきた“自然現象”――私が問い続け、黙殺され続けた理由
10年ほど前、私は日本耳科学会の元会長であり、京都大学耳鼻咽喉科学教室の大先輩でもある山本悦生先生に、ひとつの質問を投げかけました。
「鼓膜のバネの復元力が、中耳調圧の原動力ではないのですか?」
先生は一瞬黙り、そして静かにこう答えました。
「それは関係していると思う。しかし中耳調圧に関しては、何の証拠もないのよ。だから、何を主張してもいいのよ。」
私はその言葉に愕然としました。耳科学という分野が、100年近くの間、「中耳の圧力調整」という基本的な現象について科学的根拠を持たず、物理学的検証もなされてこなかったという事実が、そこにあったからです。